カテコを見逃すな!

テニミュに関する長めの独り言

まだ見ぬ3rdキャストに別れを告げた

今は11月21日24時。
テニミュ3rdシーズン最後の企画である、ドリームストリームの配信アーカイブ視聴期限が、先ほど訪れた。
これで正真正銘、テニミュ3rdの作品が全て完成し、3rdキャストが全員卒業した。
一つの区切りとして、せっかく友人のブログに星?をつけるためにアカウントを作ったことだし、長めの独り言を残しておくことにする。
きっと本来なら4本くらいに分ける長さでしょう。でもしないのが私。

タイトルの通り、私は3rdキャストを劇場で実際に見ることは叶わなかった。
というのも、私のテニミュ初体験は忘れもしない2020年2月16日。全国大会青学vs立海後編千秋楽、の、ライブビューイングだった。

この頃まだ別の界隈で元気にイベント遠征する日々を送っていた私。2019年の年末、本名も住所も知らないオタクと、推しの特別場内アナウンスを聴くためによみうりランドを駆け回っていた。そんな時、高校時代の友人(今まで推し界隈が被ることはあまりなかった)から来た一通のライン。

テニミュのライビュ一緒にいかない?車とチケット代は出すから」

これが全ての始まりだった。
ちょうどイベント開場直前、面倒だった私は「いけたらいく」とだけ返し、イベントを堪能した。
そんなラインが来たことすら忘れて生活していた私が次にテニミュのことを思い出した時には、隣町まで全く知らない作品のミュージカルを見に行くことになっていた。

私はテニミュを知らないどころか、原作テニスの王子様の知識もろくになかった。文字通りのニコ厨だった頃、なぜか空耳テニミュに触れずに通過してしまったからだ。さすがに越前リョーマは知っていた。
高校時代、趣味がブックオフ通いだった頃に都大会あたりまでは読んでいたが、当然キャラクターはおろかストーリーも覚えていなかった。
知らないものを知らないまま行って、「よく分からなかった」という感想を残すのは作品にも友人にも失礼だと、謎のオタク理論を展開し、一応テニミュのホームページのキャストを見たが、人の顔を覚えるのが苦手な私が公演名も聞いていないのに、ずらっと並ぶ色とりどりのジャージの中から誰を覚えたらいいのか分かるはずもなく。
友人から送られてきた、菅田将暉さんのオールナイトニッポン・テニス特集回のYouTube知識のみで全立後編に挑むことになった。

実は、全立「後編」であることを知ったのは友人の車の中だったし、友人は前編を観に行っていなかった。「後編だけど、何試合残ってるかわかんないや」と友人は笑っていた。
非常に不安な布陣であることは言うまでもない。

今だから分かるライビュ限定公演前映像のメンバーも、「対戦校は黄色のジャージだよ!」と直前に教えられた私には全員知らない色だったし、テニスの試合にミイラが出てくることも教えられてなかったので、公演中に「だれ…?」と思わず呟いてしまった。隣の友達は笑っていた。乾だった。

公演は、キャラクターの名前がわからない私でもとても面白かった。かすれ声だが無垢な笑顔の越前リョーマが記憶をどんどん取り戻していい感じで生意気になっていく様や、黄色ジャージ・立海幸村の絶望的な強さ、その裏にある何か。五感を奪われたリョーマの目が虚空を見ていたときには、本当に中の人も何も見えていないんじゃないかと不安になった。これも直前に教えられていたが、ボールが二つに割れたのに打ち返す幸村の気迫に圧倒された。

気づけば名前も知らなかったキャラクターの卒業式で号泣していた。
この辺で、「原作ちゃんと読もう」と思い始めていた。

だが、私がテニミュ沼に落ちた一番の理由はここではない。カーテンコールに落とし穴があったのだ。
さっきまで圧倒的王子様オーラを放っていたキャスト達がなんともふわふわした千秋楽挨拶をする中、私の目はあるキャストに釘付けだった。他のキャスト達がふわ挨拶に笑顔を見せたり茶々を入れる中、ずーーーーっと仁王立ち・「へ」の口をしたキャストが一人。真田弦一郎だった。彼は最後の最後に幕が降りきるまで、真田弦一郎として板の上に君臨し続けていた。
「あの人最後までかっこよかったな」「歌も上手だったな」「真田弦一郎はどんな人間なんだろう」

「彼の試合をもっと見たい」
はいテニミュ沼一名様ご案内~~~~~~~~
サー立の女の誕生である。

帰りの車で友人にその話をすると、友人もその姿を覚えていた。
二人でひたすらキャストのTwitterを探しながら、普段の3倍の会話スピードで感想を言い合ったのをよく覚えている。
この時初めて彼は田鶴翔吾さんであることを知った。

ここから私のテニミュ沼転落人生は速かった。
翌日には漫画喫茶で半日かけてテニスの王子様全巻読破(結局全巻セットを買った)、1週間後にはテニミュの勉強として、1stのDVDをTSUTAYAで借りられるだけ借りた。2月末にはテニモ300円会員になっていた。途中1氷と1立にハマり、1stのDVDを中古で爆買いし、3rd全立後編のDVDは発売前に予約までした。

どうしても田鶴さんの歌と、あの立ち姿が忘れられなかった私はDL2020のチケットを入手していた!
これが私にとって最初で最後の田鶴チャンスで、サー立チャンスだった。

そこにあの感染症である。
チケットを入手した段階で薄々わかってはいた。まだ抜けていなかった元の界隈の4,5月のイベント遠征はその時点で全部中止だったし。
譲渡のチケットは当日手渡しを希望したので、私の最初で最後のテニミュ3rd現場は、席番を知ることなく散ったのだ。

悲しみに暮れ、ブロマイドを爆買いし、全立無料配信で別の友達を沼に引きずり込みながら過去公演のDVDを抱いて過ごす日々。

ドリームストリームの配信が決まる頃には、3rd関東立海・全国立海の3本のDVDは全て揃っていた。1st全立前後編も持っているので、これがドラゴンボールなら一つ願いが叶っている。

ドリライ7thを履修していたので、ああして応援していた人間の愛を光や声として浴びずに卒業していく彼らの無念さを想った。過去公演の配信を見ながら、サー立・青9,10以外の沢山の個性豊かなキャストを知った。これが1100円でいいのか?と毎日思いながら、この日々が続くことを願った。でも心のどこかではこの配信は終わりへの準備であることも分かっていた。全力で見なかったことにした。四天最高でした。


(ここからがようやく本編。)


そして迎えた11月15日。前夜祭の絵しりとりを直前まで見てどうにか潰れそうなメンタルを上げた。(あの絵しりとりは田鶴さんと司会の二葉さん以外ほぼ全員ルールを理解していなくて、別の意味でメンタルを削られた。涙が出るほど笑った)

ここまでの公演配信のおかげで私は全部の学校のキャストがわかるようになり、愛着がわいていた。7ヶ月前はジャージの色もわからなかったのに…
泣く覚悟をして、一人部屋のベッドで視聴準備をした。

始まってみればトンチキCGグランプリが繰り広げられていた。
大阪城ホールで見るはずだった田鶴さんは何故か崖っぷちで「お前ら…崖っぷちギリギリ」を歌っていた。多分貴方がそこにいたらもう青学さんは崖下だと思います、と言いたくなったが言う相手は当然いなかった。また、田鶴さんは何故か瞳の奥が物理的に火に侵略されていた。背景では雷が落ちていたし、風林火陰山雷(物理)なのか。二週間前に見た四天は背景のおかげでEテレ体操のおにいさんのようになっていた。

着ていたパーカーが笑い涙で一通り湿気た頃、おもむろに流れる聞き覚えのないイントロ。青10の卒業バラードだと気づいたのは、乾役の竹ノ内くんが歌い出してからだ。急にこれが「卒業の儀式」であったことを思い出した。
青10の卒業バラードは、歴代の卒業バラードと比べて珍しい歌詞だな、と最初に感じた。
今まで公演・ドリライで歌われてきた卒業バラードは、キャストの卒業というよりはキャラクターの成長・飛躍・旅立ち・シーズンのラストであれば卒業を歌っているというのが私の所感である。公演なら当然だと思うが、そこに立っているのは阿久津仁愛くんではなく、越前リョーマだからだ(例)。そこに私が勝手にキャストの感情や卒業を重ね合わせて号泣しているだけだ。
だからこそ、過程・結果、軌跡・成果といった言葉ではなく、「稽古」「本番」という、明らかに役者を連想させる言葉を使ったのはかなり意外だったし、一周目では違和感を覚えた。

ただ、テニミュ式卒業式を見て、一週間トンチキCGグランプリを繰り返して、最後に全編を見た今日、ふと思った。
私はドリライも生で見たことはないが、集大成であり、キャラクターの織り成す祭りの一種だと思っている。あの巨大なステージやランウェイを飛んだり跳ねたりしてるのはキャラクター、それを見て喜ぶ祭り。言い方はぶっきらぼうだが、キャストは言わば着ぐるみの中身、我々はゲストとして楽しませてもらうイベントだと理解している。(若干ニュアンスが違う感が否めない)

だが、ドリストはキャストのための儀式、友人に送った言葉だが「盆の送り火」だったのではないかと、終わりを迎えた今考える。青10に卒業証書を渡す前、のがしょさんが「全キャラクターはTDCに置いていく」と仰っていた。
今まで青春学園のキャラクター達は10世代・他の学校もそれぞれ数世代に渡って受け継がれてきた。
3rdキャストが、それぞれ大事に磨いてきたキャラクターの魂を次の世代に置いていくための儀式。本来は沢山の歓声・光を浴びて、キャストの言葉を通して自然にキャストの元を離れて受け継がれていくはずだったもの。

私達がもてなされる側なのはトンチキCGグランプリでおしまい、あの卒業バラードはキャラクターの面を付けた青10キャストからの卒業メッセージなんじゃないかと考えた時、あの歌詞の人間味の濃さに少し納得がいった気がした。

あの曲で私が一番好きな歌詞は、「俺一人前になれたかな、俺一人立ちできたかな」のところだ。
この歌詞は1番ではゴールデンペアが歌っていて、それぞれのキャラの感情としても齟齬がない。2番では2節ともリョーマが歌っていた。ここを歌う仁愛くんは斜め上、どこか遠くを見ていて、私にはドリライ2018で彼が言っていた「背中を目に焼き付けた」青9キャストの後ろ姿が見えた。
ここで、仁愛くんの中の9代目リョーマも、青9のみんなのところにいけたかな、と思った。私も3rdのみんなの姿を見ることはできなかったが、心晴れやかに送り出せるような・送り出さなければいけない気がした。一人勝手に拡大解釈して号泣した。

卒業式映像では、高田誠さんの言葉に救われた。「何年後になるかわからないが、次の代の比嘉を皆で観に行こう!(意訳)」
TDCにキャラクターの魂を置いていっても、キャスト自身の核にキャラクターの欠片が芽吹いている気がした。
田仁志くんを次に受け継いでも高田誠さんの中にはサー比嘉の田仁志くんの心が残り、比嘉っこは比嘉を卒業しても比嘉っことしての繋がりが残る。
田鶴さんの挨拶は2時間半経った今、みんなが彼の挨拶で笑っていたことしか思い出せないが、生真面目なあの瞳の奥には炎のように燃える真田の心があり続けるのでしょう。
忘れた挨拶はDVDを買って思い出すのでセーフ。

きっと私は今後もサー立がキャラクターの姿で私の眼前に現れることを諦めることはないが、4thの立海をサー立と比べて「サー立の方がよかった、サー立が恋しい」などと失言することはなさそうだ。
いくら魂を受け継いだからとはいえ魂の育て方は人それぞれなことは、このテニミュドリームストリームのおかげでよくわかった。
ありがとうドリームストリーム、私達にキャストを送り出す手伝いをさせてくれて。
ありがとうテニミュ3rd、今後いつまでテニミュが続いてもきっと私の一番はずっと3rdだ。

あと7時間半で、新テニミュの発券が始まる。
私の初めてのテニミュ現場・1年ぶりの遠征は私にとって忘れられないものになるだろう。